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2009年8月11日 (火)

「英語発音サクッ!と探検隊」英語発音一覧トップ

Tの発音3(声門閉鎖)

正門が閉鎖したら裏門に行けばいいですが、声門が閉鎖したら息ができなくって死んでしまいます。声門は左右の声帯の間です。今日は米語のTを舌でなく、声門で出すという話。喉でYES、NOの返事を使い分ける方法も分かります。

まずは声門閉鎖。どうすればできるか?今なさっている呼吸を止めてください。ただし口を開けたまま。はい、止めて、吐いて~。今のが声門閉鎖1回。では今度は切れよく「あっ、あっ、あっ」と言ってください。今度は3回連続で声門が閉じたり、開いたりしました。

日常でも使います。例えば、瓶の蓋を開けようと、力む時。それから温泉に入る時。どちらも閉鎖した声門を少し開けると、うなり声が漏れ始めます。

実はこの声門閉鎖、T以外にも面白い話があります。それは英語のYESとNOのカジュアル版。それぞれ口開きバージョンと口閉じバージョンがあるのですが、いずれの場合もYESの時は声門閉鎖を使わず、NOの時は声門閉鎖を使うのです。カタカナ書きで表にすると、こうなります。

                        口開き 口閉じ(鼻抜け)

YES(声門閉鎖せず、ピッチ尻上がり)アーハー  ンーフン   

NO(声門閉鎖する、ピッチ尻下がり)  アッアー  ンッンー  

息がスーッと流れるのがYESで、息が滞るのがNO。なんとなく感覚的に分かる気がしませんか。

ではいよいよTです。

まずは松坂ヒロシ著「英語音声学入門」P135の例から。

It was good.

That really surprised me.

in that year

I don't know.

上記4例のTの発音に声門閉鎖が現われる。すなわち、Tの次が移行音(W、R、Y)や鼻音(N)の場合に多いとしています。

そもそもなぜTが声門閉鎖で代用されるかというの説明し忘れていました。それは本来破裂音であるTが破裂の手前の閉鎖の段階で終わることが多いからです。さらに、その閉鎖という動作を本来の舌でなく、声門でやってしまうと楽な場合があるので、そうなった・・・ということです。

やり方は簡単。例えば、ITなら、イの音を喉でピッと止めて沈黙の間(T相当分)を持ちます。これでITと発音したことになり、聞いたほうにもそう聞こえます。

次に藤村靖著「音声科学原論」P110およびP131から。

英語の場合、butterなどの強勢のあるシラブルの後に縮約されたシラブルが続く語では、母音間の舌先を使ったt, d, あるいはnは、声門閉鎖を伴う、あるいは声門閉鎖だけで置き換えられた音が現れる、とあります。そして例として、batter, pitcher, runner, twentyなどの例が挙がっています。

はるか昔、高校時代、初めて教室に来たネイティブ・スピーカーのバーバラ・クーチョフ先生がtwentyはtwennyのように発音するのよ、と黒板に書いてくれたけど、しっくり来なかった。その理由は今は分かります。声門閉鎖を使ってなかったからです。このNはある意味、舌先をちゃんと上に付けず、喉で作る日本語のンに似ているので、知ってしまえば、日本人にはやり易いはずです。

では最後にイギリス英語の場合です。ピーター・ローチ著「英語音声学・音韻論」(P53-P54)は、ある限られた音声環境で、声門閉鎖音がp, t, k, chの直前に生じるとして、nature, catching, richies, actor, petrol, mat, footballなどの例を挙げています。これは代用するためではなく、むしろ、次のp, t, k, chを気持ちよく発音するための声門閉鎖のようです。同じ声門閉鎖でも米語と英語で性格が違うのが面白いです。トップ

PS もう一点、声門閉鎖の特徴は素早く音を切れるということ。(なんせ音の出所でシャットしますから) ということは、例えば、米語でbitterのtが有声化してbidderに近づいても声門閉鎖で母音のiを短くすれば、bidderの区別が付けやすいということになります。

PS2  ピーター・ローチ著「英語音声学・音韻論」(P114)は、声門音声化を分類して、1)1つの子音要素が語中にある場合は声門音声化は生じない。例)upper, better, backer  2)2つの子音要素が語中にある場合は声門音声化が普通。例)optic, Betsy, boxer 3)chの音が語中に現れる場合、強勢のある音声の後では声門音声化が普通。例)butcher, matches, watching としています。

PS3  ピーター・ローチ著「英語音声学・音韻論」(P121)は、速い話し言葉では、鼻音が母音と子音の間でよく脱落し、この場合、鼻音に先行する母音が鼻音化する。例)front, sound, anger, can't, camper, bond   としています。ローチが挙げた鼻音の脱落は、ただ脱落するのではなく、声門音声化を伴う可能性があります。なぜなら米語のtwenntyの場合、ntが声門音声化し、eは鼻音化するからです。(藤村靖著「音声科学原論」P132)このあたりに米語が、喉と鼻によく響く鍵がありそう。

PS4 声門閉鎖のTの例いろいろ

語中のt+n

fountain, curtain, button, important, certain, straighten, mitten, button

語尾のt(文末か息継ぎの前)

I can't. Good night.  What? If you find it, call me. Curt.

語尾のt+子音

Let me know. Do you want one? What can he do? hat 'n mitten

sort through

*語尾のt+母音だと、フラップTになる。(tの前も母音の場合)

Good night, everybody.

 

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コメント

今読んでいる本で、glottal stopのところにさしかかり、よくわからずに検索してこちらにたどり着きました。
大変わかりやすくまとめられていますね。
とても参考になりました。

また今までネイティブが I don't know とかっこよくいっているのに気づいて、まねしていたのですが、あれにはこういうわけがあったのですね。
新しい発見があってうれしいです。(^o^)

投稿: 栗須 | 2013年3月 4日 (月) 09時10分

語尾のTの発音は、大事なポイントの一つだと思います。

投稿: スカイ | 2013年3月 4日 (月) 10時13分

glottal stopのお勉強中です。

>本来破裂音であるTが破裂の手前の閉鎖の段階で終わることが多い

とても分かりやすい説明に感謝です。

投稿: ETCマンツーマン英会話 | 2014年9月 4日 (木) 12時52分

お役に立てて嬉しいです。日本人にとってCVCだけでも大変なのに、後ろのCが簡略化されるのは、なお大変です。。。

投稿: スカイ | 2014年9月 4日 (木) 14時01分

スカイさん、お返事有難うございます。(^-^)/

投稿: ETCマンツーマン英会話 | 2014年9月 4日 (木) 21時48分

例えば”get to”。早口ではgetのtを上歯茎に付けずに/géʔtuː/(ʔ=声門閉鎖)としている発音は多いですよね?声門閉鎖を使った発音だったのですね?

投稿: サガミ | 2017年3月20日 (月) 23時04分

両方あると思います。声門閉鎖使うのと、使わないとのと。

投稿: スカイ | 2017年3月21日 (火) 13時41分

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